Heavenly「Dust To Dust」

点数…87

フランスのメロディックスピードメタルバンド、ヘヴンリーの3rdアルバムです。

中古でも価格が高騰しているアルバムですね。私は1stを未聴ですが、日本版は2ndがビクター、この3rdがキングレコード、4thと5thがAVALONのレーベルから出ており、そうしたレコード会社との契約が影響しているのかもしれないですね。音源としてならばitunes storeでも購入可能ではありますが。

今作は日本盤ボーナストラックを含めると14曲とかなりのボリューム。ボートラは13曲目「…Dust To Dust」の日本語バージョンです。コーラスが綺麗ですがバラード曲なので、メロスピ目当ての人からすると別の曲の方が需要があったのかもしれません。

HEAVENLYの特徴というと、クサメロとボーカルのベン・ソットのハイトーン、あとはどこかで聴いたようなメロディーがたまに混じることなどが挙げられますが、今作はいずれも満たしております。
不穏な1曲目に続く2曲目「Evil」がいきなり小気味よく疾走開始しておりそこは大いに歓迎しますが、早々とAngra「Nova Era」で聴いたようなメロディーが流れてきて、気持ちの方も不穏になってきます。

クサメロは確かに感じられるのですが、サビがそもそもどこなのかわからない曲が多くなかなか複雑です。曲全体でコーラスが大仰なのも豪華でいいですが複雑さに拍車をかけていますね。次作「Virus」ではそのあたりがかなりクリアになってきています。

サビから何から全体的にかっこいいのが10曲目の「Fight For Deliverance」。イントロからオッと思わせてくれます。「I fight for delivrance(delivrance)♪」という感じの後追いのコーラスは一歩間違えたらB級まっしぐらなのですが、2ndの「The World Will Be Better」同様にクサさがダサさを取り込んでしまうぐらいの曲のパワーがあります。

3曲目の「Lust For Life」はミドルテンポですが4thの「Spill Blood On Fire」と同じようにメロディーをじっくり堪能できます。この路線はいいですね。
疾走曲の「Keepers Of The Earth」は疾走したまま駆け抜けていってくれるので実にわかりやすい良曲。「Kingdom Come」もそれに近いですね。
「Illusion Part II (The Call Of The Wild)」がころころテンポが変わりますがサビがかっちりと区切られていて好印象。

かなり作り込まれたアルバムですが、メロスピというジャンルは複雑さを受容するのが難しいかと思われました。コーラスとクサメロといった利点を次作以降に残してわかりやすくしていったのはさすがです。

特に好きな曲は、
「Lust For Life」、「Keepers Of The Earth」、「Fight For Deliverance」