At Vance「Heart Of Steel」

点数…83

ドイツのメロディックスピードメタルバンド、アット・ヴァンスの2ndアルバムです。

今ではすっかりベテランバンドとなっている彼らですが、この時期からどこかベテランのような老成した雰囲気を漂わせているのは、ボーカルのオリヴァー・ハートマンの歌唱力によるところも大きいでしょう。
割とコーラスも多めで、とっつきやすいアルバムです。

速めの曲も半分ほどでなかなかのクオリティーのメロディーです。オーラフ・レンクもギターを弾きまくっています。

「Soldier Of Time」は歌のサビ部分よりもその後のギターのメロディーの方がクサさを感じられるという、変わった体験をしました。
冒頭からクワイアで名曲を予感させる「The Brave And The Strong」が個人的には今作のハイライト。一緒に歌いたくなるような希望の持てるメロディーがいいですね。しかしドラムがずっとダダダダとやっているのは驚きました。マシンですか？

上記の他は「King Of Your Dreams」、「Don’t You Believe A Stranger」なども良質なメロスピ曲です。

アルバムにカバー曲を入れてくるのが特徴のバンドですが、今回もABBAの「S.O.S」と、クラシックから「Chopin: Etude No.4」を入れてきています。「S.O.S」の方は特徴的なイントロから繰り出されるなかなかよくまとまった内容。親しみやすい曲の雰囲気がメタルであっても壊れていません.いいカバーかと思います。
「Chopin: Etude No.4」はネオクラっぽいギターの技巧に寄った1曲。割と一本調子です。

日本版ボーナストラックの「Logical Song」もSupertrampというイギリスのロックバンドのカバー。序盤が原曲をそのまま踏襲しているようで面白かったですね。中盤からはメタル色が強くなりますが。
カバーが3曲も入っているのは多めと言っていいと思いますが、内容はなかなかのものでした。

特に好きな曲は、
「The Brave And The Strong」、「S.O.S」、「King Of Your Dreams」、「Don’t You Believe A Stranger」。