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点数…89
オランダ出身のロックアーティストであるヴァレンシアのフェアウェル・アルバムです。「Queen Tribute」を除いたオリジナルアルバムで考えると6thになりますかね。
フェアウェルという単語からもわかるとおり、一応今作をもって映画音楽にシフトするためにアーティストとしての活動は一区切りという意味で、別れを告げるアルバムという位置づけでした。しかし2019年に普通に過去作と同じような音楽性で「7EVE7」(セブン)をリリースして意味がわかりませんでした。私はまだ「7EVE7」は買っていないのでどんなものかと思いますけどね。このあたりのことは「Non Plugged」の感想の時にも書いたのでこれ以上はやめますが。
全体的にはこれまで親しまれてきたValensiaの音楽性が詰め込まれていて期待通りでした。久々に新曲を聴けて喜びもひとしお。
サブタイトル的に「Gaia III」ともあることから代表作の「Gaia」の流れをくんでいることは明らかで、最初の「Tere III」もかの名曲「Tere」で聴いたメロディーが含まれていて嬉しいです。9分以上ありますが長さを感じさせない名曲。特に最初のサビまであっという間に感じられました。
他にも初期のテイストを強く感じさせるのが「The Cabinet Of Curiosities」「Carolina」などで、「Gaia」から20年経ってもこうして好まれた路線の曲をできるのが強みですね。途中で路線変更した時期もありましたがやはりこの音楽性がいいです。
Valensiaの魅力はやはり美しいメロディーとコーラスワークだと思っていまして、特に性別不詳にすら思えるコーラスが今作でも楽曲を彩っています。荘厳に始まってポップになる「Holland」や歌の上手さを感じられる「Finca Paris」など魅力のある曲が入ります。終盤の「Serious」は中期頃でお馴染みの作風で安心感があります。
最後を飾る「Aglaea」は超が付くぐらいの名曲で、最後の最後に凄い曲を入れてくれたものだと震えが来ました。彼のアーティストの歴史が「Gaia」で始まり「Aglaea」で終わる構成はまさに最後にふさわしいですし、ミドルテンポで美メロと多重コーラスを堪能できます。
Valensiaの名曲というと「Gaia」以降にも「Kosmos」「Millenium」「Phantom Of The Opera」「Valensian Jazz」といろいろとありますがそれらに比肩する充実の仕上がり。私が聴いた中で2014年最高の曲はこれでしたね。
なお初回限定版は2枚組で、2枚目というのは音楽面を担当したらしい映画「Spo0K」のオリジナルサウンドトラックです。こちらは映画を見たという人も少なそうですしそこまでありがたいわけでもないというか、今後の活動がどんなものかを知らしめるという意味ではファン向けですね。
特に好きな曲は、
「Tere III」、「The Cabinet Of Curiosities」、「Aglaea」。