Wuthering Heights「The Shadow Cabinet」

点数…83

デンマークのプログレッシブ・パワーメタルバンド、ワザリング・ハイツの4thアルバムです。

バンドはこれを書いている2018年現在も存続していますが、2011年ごろから数年は休止状態にあったようです。
メロスピ好きからはかなり評価の高いこのバンド、実際に聴いてみる前からも結構レビューサイト等で名前を見かけることが多く期待していました。日本盤はSOUNDHOLICから出ていましたね。

ボーカルはニルス・パトリック・ヨハンソン。Astral DoorsやSpace Odysseyなどでそのパワフルな歌唱力が評判になっています。それらのバンドもいいのですが、このWuthering Heightsで歌っている方が個人的にはマッチしているように感じます。
高音であろうがクリーンボイスであろうが圧倒的な声量を誇っており、得難いボーカルですね。

ボーカル以外に全体的に演奏もハイレベル。プログレッシブメタルと形容されることも多く、曲ごとに変わった展開を見せますが危なげなく聴いていけます。
ケルト音楽の要素が少し入っていて、長尺曲にときおり顔を出す和みのようなメロディーが曲に深みを与えています。「Faith – Apathy Divine Part 1」の最後の方などいいですよ。

速めの曲が多いですが、いわゆる「わかりやすい」タイプのメロスピ曲は序盤に集中しています。「Demon Desire」、「Beautifool」、「The Raven」となかなかの曲が続きます。
個人的には序盤の速い曲よりも、中盤以降に出てくる曲の方が満足感が得られました。サビの後ろのコーラスとギターリフがカッコいい「Snow – Apathy Divine Part 2」、とにかくストレートに勢いがある「I Shall Not Yield」などいいですよ。

最も好きなのが7曲目の「Sleep」。曲が始まるとスローテンポのバラードかと思わされます。前半はそんな感じで美しいメロディーでまったりと展開。ボーカルとギターのメロディーがハモっているのが気持ちよく聴けます。ところが中盤以降はいきなり参加人数が増えたかのようにコーラスが厚くなり、感動的なサビが続いてきます。本作で一番の聴きどころだと思っています。

ボーナストラック以外で本編のラストを飾る「Carpe Noctem – Seize The Night」は8分近い曲ですが、序盤からやたらと泣き要素が入ったメロディーがよく、疾走とテンポチェンジが入ってきて長さを感じさせません。

特に好きな曲は、
「Snow – Apathy Divine Part Ii」、「Sleep」、「I Shall Not Yield」、「Carpe Noctem – Seize The Night」